History & Faith歴史と信仰

歴史と信仰

One of the 7 Holy Japanese Mountains気高く、美しく、懐が深い信仰の山

西日本最高峰にして、日本七霊山の一つとして信仰を集める石鎚山。この山の名が歴史に刻まれたのは、今から1300年前。修験者として名高い役小角が開山したことに端を発し、山そのものを御神体とする山岳信仰の聖地となった。後に寂仙菩薩や弘法大師空海も、ここで厳しい修行を行っている。これにより神仏混淆の信仰対象として崇められるようになったという歴史も有する。霊山としての気高さだけではなく、美しい自然や風景に惹かれる人々を懐深く迎え入れるやさしさも合わせもつ石鎚山。その存在は多くの人に学びや癒しを与えている。

気高く、美しく、懐が深い信仰の山
木霊する法螺貝の音色

木霊する
法螺貝の音色

山中で修行をする修験道の行者は、修験十六道具を携えている。その中でも法螺貝は大きな意味を持つ道具だ。立螺作法と呼ばれる独特の奏法により木霊する音色は、悪魔降伏の威力を持つとされ、行者同士の意思疎通のためにも用いられている。毎年7月1日から10日のお山開き大祭で、白装束を身にまとった石鎚導者たちが、頂上社を目指しながら響かせる法螺貝の音色は、お山の初夏を告げる風物詩だ。

石鎚山の天狗伝説をひもとく

石鎚山の
天狗伝説をひもとく

石鎚山には、かつて石鎚山法起坊という名の大天狗が住んでいたという天狗伝説が残されている。石鎚山法起坊は日本八大天狗の一角をなすとも、別格であるともされている強大な力を持つ存在だ。実はこの大天狗は、石鎚山を開山した役小角であるという説も有力。神や自然とのつながりを求める修験道者(山伏)である役小角は、天狗のように自在に石鎚山を駆け回ったのであろう。

Ishizuchi Shrine 〉

霊場開創1200年、弘法大師 空海の足跡を辿る。

霊場開創1200年、
弘法大師 空海の足跡を辿る。

開創1200年を迎えた、八十八ヶ所霊場を巡る四国遍路。時代を超えて、国内外から注目を集める遍路道には、この地独特の「お接待文化」が根付く。遍路道を歩めば、各地で人と人との温かな触れ合いが待っている。かつて、ニューヨークタイムズ紙が、「52 Places to Go in 2015(2015年に行くべき世界の52箇所)」として日本で唯一選定。愛媛県の久万高原町にある四十五番札所「岩屋寺」が掲載された。

Iwaya-ji Temple 〉


1,300 Years Ago by En no Ozunu修験道の開祖「役小角」が開いた山

飛鳥時代に生まれたとされる「役小角(えんのおづぬ)」は、鬼神を従えるほどの法力を持っていたとされる呪術者。石鎚山以外にも国内の多くの霊場を開いたとされる。『続日本記』や『日本霊異記』などにその伝説が記されており、現在伝わっている人物像は、後世に語り継がれたものであるとされている。だが、役小角は確かに実在した人物であり、今も石鎚山には彼を慕う修験道者たちが足を運んでいる。

修験道の開祖「役小角」が開いた山
修験道の開祖「役小角」が開いた山
修験道の開祖「役小角」が開いた山

日本の民間信仰として語り継がれる天狗は、神とも妖怪とも称されている。深山に住み、赤ら顔で鼻が高く、翼を持ち、空を飛翔する能力を持っていた。いにしえの人々は山を異界として恐れており、いつしか山に住む天狗を山の神様として位置付けるようになったという。石鎚山を住処とした大天狗・石鎚山法起坊も、そんな山神であったのだろう。それが故に石鎚山の山頂は「天狗岳」と名付けられたと言われている。


O-yamabiraki Taisai Festival山全体が高揚感に包まれる夏季大祭

山そのものを神体とした山岳信仰の聖地である石鎚山には、口之宮本社、成就社、頂上社、土小屋遥拝殿の4つの社からなる石鎚神社がある。奥宮にあたる頂上社は山頂の弥山にあり、そこに至る参道には鎖の行場として知られる4つの鎖場が待ち受けている。毎年7月1日から10日のお山開き大祭には、全国から数万人もの石鎚神社の信徒が集まってきて、山は高揚感に包まれる。

山全体が高揚感に包まれる夏季大祭
山全体が高揚感に包まれる夏季大祭
山全体が高揚感に包まれる夏季大祭

毎年6月30日早朝に本社を出た三基の神輿には、「仁」「智」「勇」の御神像がのせられている。成就社本殿で一夜を明かした後、1日早朝より御神像は信徒に背負われて頂上社を目指す。これより10日間、本社にある御神像が頂上社に置かれるのが、お山開き大祭だ。期間中、石鎚導者たちが法螺貝を吹き、鈴を鳴らしながら「ナンマイダー」「ナンマイダボー」と声を発して登拝をする様子は圧巻。


52 Places to Go in 2015祈りを受け止める癒しの道のり

四国遍路は全行程1,200kmにも及ぶ巡礼路。それぞれの想いを叶えるために、人はこの道を歩む。大切な人を悼んだり、自らの可能性を求めたり。その動機は人それぞれ。だが、単に88の寺院を巡るだけではなく、道中で出会う美しい四国の風景や人々とのふれあいに、やさしい、穏やかな気持ちを得ることができるのだ。そして道のりは、常に弘法大師と一緒に歩む「同行二人」。お大師様の愛に守られながら、人として成長していく。

祈りを受け止める癒しの道のり
祈りを受け止める癒しの道のり

NYタイムズ紙の「52 Places to Go in 2015」で、国内で唯一選ばれた四国八十八ヶ所霊場。その記事で使われていたのは、山の中に佇む第45番札所「岩屋寺」の神秘的な姿だ。岩屋寺は標高700m、巨岩の中腹に埋め込まれたかのような堂宇が特徴の山岳霊場。弘仁6(815)年、この地を訪れた弘法大師は、山中に住んでいた法華仙人を帰依させ、全山を譲り受けたという。鎌倉時代には一遍上人が、ここで修行をしたという話も伝えられている。