いしづちエリアの魅力

ATTRACTION

1,300年続く山岳信仰と歴史

HISTORY&FAITH

山岳信仰の聖地石鎚山は、
西日本最高峰、日本七霊山の1つ

西日本最高峰にして、日本七霊山の一つとして信仰を集める石鎚山。
この山の名が歴史に刻まれたのは、今から1300年前。
修験者として名高い役小角が開山したことに端を発し、山そのものを御神体とする山岳信仰の聖地となった。
後に寂仙菩薩や弘法大師空海も、ここで厳しい修行を行っている。
これにより神仏混淆の信仰対象として崇められるようになったという歴史も有する。
霊山としての気高さだけではなく、美しい自然や風景に惹かれる人々を懐深く迎え入れるやさしさも合わせもつ石鎚山。
その存在は多くの人に学びや癒しを与えている。

修験道の開祖「役小角 えんのおづぬ 」が開いた石鎚山

飛鳥時代に生まれたとされる「役小角(えんのおづぬ)」は、鬼神を従えるほどの法力を持っていたとされる呪術者。
石鎚山以外にも国内の多くの霊場を開いたとされる。
『続日本記』や『日本霊異記』などにその伝説が記されており、現在伝わっている人物像は、後世に語り継がれたものであるとされている。だが、役小角は確かに実在した人物であり、今も石鎚山には彼を慕う修験道者たちが足を運んでいる。

日本の民間信仰として語り継がれる天狗は、神とも妖怪とも称されている。
深山に住み、赤ら顔で鼻が高く、翼を持ち、空を飛翔する能力を持っていた。
いにしえの人々は山を異界として恐れており、いつしか山に住む天狗を山の神様として位置付けるようになったという。
石鎚山を住処とした大天狗・石鎚山法起坊も、そんな山神であったのだろう。それが故に石鎚山の山頂は「天狗岳」と名付けられたと言われている。

修験道の行者と法螺貝

山中で修行をする修験道の行者は、修験十六道具を携えている。
その中でも法螺貝は大きな意味を持つ道具だ。
立螺作法と呼ばれる独特の奏法により木霊する音色は、悪魔降伏の威力を持つとされ、行者同士の意思疎通のためにも用いられている。毎年7月1日から10日のお山開き大祭で、白装束を身にまとった石鎚導者たちが、頂上社を目指しながら響かせる法螺貝の音色は、お山の初夏を告げる風物詩だ。

天狗伝説と石鎚山

石鎚山には、かつて石鎚山法起坊という名の大天狗が住んでいたという天狗伝説が残されている。
石鎚山法起坊は日本八大天狗の一角をなすとも、別格であるともされている強大な力を持つ存在だ。
実はこの大天狗は、石鎚山を開山した役小角であるという説も有力。神や自然とのつながりを求める修験道者(山伏)である役小角は、天狗のように自在に石鎚山を駆け回ったのであろう。

いしづちエリアの伝統と文化

TRADITION&CULTURE

毎年全国から数万人が集まる
お山開き大祭

山そのものを神体とした山岳信仰の聖地である石鎚山には、口之宮本社、成就社、頂上社、土小屋遥拝殿の4つの社からなる石鎚神社がある。奥宮にあたる頂上社は山頂の弥山にあり、そこに至る参道には鎖の行場として知られる4つの鎖場が待ち受けている。
毎年7月1日から10日のお山開き大祭には、全国から数万人もの石鎚神社の信徒が集まってきて、山は高揚感に包まれる。

毎年6月30日早朝に本社を出た三基の神輿には、「仁」「智」「勇」の御神像がのせられている。
成就社本殿で一夜を明かした後、1日早朝より御神像は信徒に背負われて頂上社を目指す。
これより10日間、本社にある御神像が頂上社に置かれるのが、お山開き大祭だ。
期間中、石鎚導者たちが法螺貝を吹き、鈴を鳴らしながら「ナンマイダー」「ナンマイダボー」と声を発して登拝をする様子は圧巻。

石鎚山の恵みと感謝の祭礼

修験道の行者と法螺貝

石鎚山は、麓に暮らす人々の暮らしにさまざまな恵みを与えている。そしてその恵みへの感謝の気持ちは、ハレの日の大きな エネルギーとなる。
石鎚山のお膝元である西条市にある石岡神社、伊曾乃神社、飯積神社、嘉母神社の4社の祭礼である「西条まつり」は、江戸時代初期には現在の形になったという。
また、石鎚山を源とする名水「うちぬき」は、生活や産業に欠かせない、文字通り「命の水」として麓を潤している。
石鎚山の威光は、山から里へとつながり、過去から未来へと受け継がれていくのだ。

4社の祭礼 西条まつり

山麓には、石鎚修験者が伝えたとされる祭があり、彼らは自らの修験の文化を各地に広げていったという言い伝えがある。
白雪がちらりと舞い落ちる季節、鎮守の森に鳴り響く「本川神楽」がその一つ。
国の無形民俗文化財に指定されている高知県の伝統芸能だ。
室町時代から続く神秘的な「夜神楽」は、木こりや般若などの面を付けて闇夜を舞う姿が見もの。
当時、村中安全や無病息災などの祈祷の中にいくつかの舞があり、これが本川神楽の原型とされる。

高知の伝統芸能 本川神楽・夜神楽

石鎚山頂にはまだ雪が残る4月、麓にある石鎚神社本社では桜の花が開き、「春季例大祭(桜まつり)」が始まる。
生き物たちが冬の寒さから目覚め躍動する季節に、自然の恵みに感謝し、それを広く正しく授かるようにと祈願する祭典だ。
高知県いの町では、土佐の三大祭りの一つである「大国祭(春まつり)」が開かれ、椙本神社は県内外から訪れた約十万人の参拝客によって賑わいを見せる。

石鎚神社と桜

熱気に満ちる石鎚山の麓

「西条まつり」が開催される数日間、市内には150台以上のだんじりやみこし、太鼓台が練り歩き、鐘や太鼓を打ち鳴らしながら祭り歌が響きわたる。
加茂川の川入りでは、提灯に明灯された明かりにより、彫刻が美しく浮かび上がる。
祭りの主役とも言える「だんじり」に施された彫刻は、花鳥風月や武者絵などをモチーフにしており、100種類もの彫刻刀を使って立体的に仕上げている。

「うちぬき」と「仁淀ブルー」
石鎚の清冽な水

うちぬき

西条市内を歩いていると、あちこちで出会える「うちぬき」。
畑の中にさえ泉があり、農家さんはここで採れたての野菜を洗っている。また水飲み場では、手ですくって喉を潤し、水筒に入れて持ち帰る人の姿も。
「うちぬき」が湧出する公園や散策路は、市民の憩いの場として親しまれている。もちろん西条市の米や野菜は「うちぬき」育ちで、酒や豆腐、菓子など、さまざまな加工品も「うちぬき」で仕込んだものがほとんど。

石鎚山の麓の地下水は、あまりにも豊富な水量を誇っていることから、かつては地面に鉄の杭を打ち込んで、くり抜いた竹を差し込むだけで水が湧き出ていた。
そこから「うちぬき」と呼ばれるようになったとの説がある。
現在、西条市内には確認されているだけで3000本の「うちぬき」があり、1日に約9万㎥も自噴している。
四季を通じて温度変化が少ない「うちぬき」は、天然の美味しい水として評価も高く、街の観光資源となっている。

1年を通して温度がほぼ一定な石鎚山の伏流水を、人々は古くからさまざまな方法で活用してきた。
名水なくしては成し得ない上質な酒造りは、「うちぬき」がもたらす代表的な恩恵の一つ。
石鎚を見上げる西条市内は、冬は霊山より寒風が吹き下ろし、四国を代表する穀倉地帯でもある。
ひときわ恵まれた水と気候と米。
そこに酒造り一筋に歩んできた技術と熱意が加わり、きりりと淡麗な味わいの酒が生まれる。

仁淀川と仁淀ブルー

高知県のほぼ中心を流れる全長約124kmの仁淀川。
奇跡の清流とも呼ばれ、水の美しさは全国の一級河川水質ランキングで3年連続1位を獲得するほど。
その美しい水の色を、地元の方が「仁淀ブルー」と呼び始めた。今では仁淀ブルーの美しさを見るために全国から多くの人々が訪れる、高知県を代表する観光地。特に有名なスポットが、「にこ淵」・「中津渓谷」・「安居渓谷」の3つ。
水神様の化身の大蛇が住む場所として地元の方にとって神聖な「にこ淵」では、太陽の光が注ぐ時間や季節による光の角度によって変化する幻想的な青の世界を見ることができる。
約2.3kmの遊歩道が整備された「中津渓谷」では、雨竜の滝、紅葉滝、竜宮淵、石柱など美しくも迫力のある仁淀ブルーをご覧いただける。
県下随一の美しい紅葉で知られる「安居渓谷」では、2段の滝で龍が体をくねらせ飛び立つような姿から名付けられた飛龍の滝や、季節や時間帯により青や緑に色を変える水晶淵など神秘的な景色が感動を呼ぶ。

紙産業と和紙の文化

平安時代の「延喜式」にその名が登場し、江戸時代には「土佐七色紙」として徳川幕府に献上されていた土佐和紙。
その技術を学び、同じく江戸時代に農家の副業として生まれた周桑和紙。その一種でカゲロウの羽のように薄い典具貼紙は、世界の美術品の修復にも用いられていることで有名。
強く美しい和紙を漉くためになくてはならないのが、美しく豊富な水。浸けたり、洗ったり、晒したりなど、各工程でたくさんの水を必要とする和紙は、石鎚山が育んだ文化そのものなのだ。

清流を泳ぐ、紙のこいのぼり

いの町特産の不織布で作られた、色彩豊かなこいのぼりが泳ぐ「仁淀川 紙のこいのぼり」。
毎年の初夏の風物詩として賑わいを見せる。
キラキラと輝く美しい仁淀川の川面を、約300匹のこいのぼりがゆらゆらと優雅に泳ぐ様に癒やされる。
このほか、川舟体験やアメゴ釣りなど、子どもたちも楽しむことができる催しがあることで、広く人気を集めている。

いしづちのグルメ

LOCAL FOODS

石鎚山系の山の幸と川の幸。
豊かな自然と穏やかな気候、水資源を土台とした
農産物をはじめとした
4市町村ごとのご当地グルメと特産品があります。

愛媛県 西条市

日本酒、絹かわなす、芋たき文化、鉄板ナポリタンなど

愛媛県 久万高原町

高原野菜、お米、りんご、よもぎ、山菜、アマゴ、ニジマス、キジ料理など

高知県 大川村

大川黒牛、はちきん地鶏など

高知県 いの町

大生姜、野菜や果物、和牛、川魚、本川手箱きじなど

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